いっしきまさひこBLOG

AI・機械学習関連、Web制作関連、プログラミング関連、旅行記録などなど。一色政彦。

読書感想『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』

書籍紹介

 最近、本を大量に読んでいるのですが、文字でひたすら読むのはつらくて、オーディオブックで耳でも聞きながら読んでいます。そうやって最近、読んだ中で、一番ボリュームがあったのがこの本です。

 再生時間は11時間18分。1.5倍速で読んだので、約7時間30分ぐらいかかりました。ネットで検索したら、4~5時間で読んでいる人がいるのですが、読むの速いですね...

概要紹介と感想

 内容として、「ストレスは体に悪い」という情報そのものによって、ストレスが体に悪く作用するという実例や研究を徹底的に実証的に説明している本です。エッセンスだけ抜き出すと、シンプルなのですが、研究の説明などが入るのですごいボリュームに。このなかなか進まない感じが挫折しやすい本だなぁと感じます。みんな最後まで読めているのでしょうか。

 確かに思い起こしてみると、受験のようなストレスがあるから勉強するのだし、そうやって頑張るから達成感が得られます。「ストレスは悪者」と一律に決めつけるのはおかしいですね。むしろ、レジリエンス(=立ち直る力)を高めるために、進んでストレスを探すのもよい。つまり「ストレスを利用して自分を成長させるきっかけにすればいい」と。最後の方はそういう主張にまで持っていっていました。

 それでメモっておきたい内容があったので、「引用」ということでここに紹介しておきます。

ストレスを力に変えるエクササイズ

 本文中にちょこちょことエクササイズが出てきます。たくさん出てくるのですが、これはメモっときたいと思ったものだけです。次のエクササイズは227~228ページに掲載されています。

【引用】1日にひとつ、誰かの役に立つ

 行き詰まったときには、毎日していること以外に、誰かのためにできることを探してみましょう。「そんなひまも余裕もないのに」と思うかもしれませんが、だからこそ、あえてそうすべきなのです。それを毎日の習慣にしてもよいかもしれません――1日にひとつ、誰かの役に立てる機会を見つけるのです。そうすれば、あなたの体と脳は積極的によい行動を起こせるようになり、勇気や希望やつながりを実感できます。
 どうせならより大きな効果を得るために、ふたつの方法があります。ひとつは、毎日同じようなことを繰り返すのではなく、なにか新しいことや意外なことをすること。そうすれば、脳の報酬系への刺激がよけいに大きくなります。
 もうひとつは、スピーチのときに身ぶり手ぶりを大きくするのが効果的なのと同じで、ささいなことが大きな効果をもたらすので、誰かの役に立てる機会をただ待っているのではなく、小さなことでも自分にできることを見つけること。
 わたしは学生たちには、周りの人のためにどんなことができるか、柔軟な発想で考えるように勧めています。たとえば、誰かに感謝の気持ちを伝えるとか、相手の話にしっかりと耳を傾けるとか、相手の言葉を善意に解釈するとか、そんなことでもいいのです。
 これまでに見てきた、マインドセットを変えるための方法(「自分にとって大切な価値観を思い出す」「心臓がドキドキするのは、体が行動を起こす準備を整えているしるしだと考える」など)と同じで、わたしたちの小さな選択が思いがけない効果をもたらし、ストレスの感じ方が大きく変わります。

その他、思ったこと

 結局は、モノの捉え方、考え方次第で、いろいろと好転して、逆に自分の力に応用できるということだ思います。日本語で「苦境」とかではなく、全部「逆境」と捉えるといいのかなと思いました。「苦境」は苦しい状況が続くイメージですが、「逆境」はあくまで進んでいる中で出てきた障害という感じです。「逆境」だと捉えるマインドセット(=心理状態)で考えて行動すれば、結果的に取る行動がまったく異なってくることが何となく想像できますよね。

 あとは、本当に苦しい状況や孤独な状況にある場合は、それが自分だけだと考えないことが大切みたいです。他の人も同じようにつらい体験をしていると考える。これは「コモン・ヒューマニティ」というらしいです。好きなテレビ番組にテレ東の「家、ついて行ってイイですか?」があるのですが、家についていって話を聞くと、まったく想像できないような苦しいことや楽しいことなどを人々はさまざまに抱えているものだと分かります。顔を見るだけでは分からないんですよね。

 もし本当に苦しいストレス状況になった場合は、コモン・ヒューマニティを思い出してください。あなたは1人ではない。あなたは他の人とつながっている存在であり、あなた個人よりもっと大きなものの一部だと考えて逆境に立ち向かうことが、大いに役立つとのことです。

オーディオブック版の特典:著者インタビュー

 オーディオブックでは最後に、著者のケリー・マクゴニガルさんにインタビューした音声が収録されていました。最初全部英語か~って思ったら、後で日本語翻訳音声も入っていました。

 その中でも特に気に入った発言があったので、最後にそれも引用しておきます。

【引用】1日1分で確実にレジリエンスを高めるためのエクササイズ

 「自分の基本的な価値観は何か?」「自分にとって最も大切なことは何か?」を考えてみることをお勧めします。私自身が毎朝ベッドから起き上がる前に、これをやっています。これならとても簡単なので、1分でできます。
 それは「あなたが何を大切しているのか?」を振り返り、心にそれを覚えさせておくということです。これを行うと、日々のストレスと向き合う中で、「自分が一体何を気にしているか?」が分かるのです。
 1日に1度でもこの作業を行っている人は、多忙なビジネスパーソンが直面するようなストレスに対しても、自分をコントロールできていると実感し、希望を持ち、可能性を感じられることが研究によって明らかになっています。