いっしきまさひこBLOG

AI・機械学習関連、Web制作関連、プログラミング関連、旅行記録などなど。一色政彦。

RSSとメールの違いとは? ――ブログの真実――

@IT:ネットワークコラム:社内ブログはナレッジマネジメントツールとなるか?

@ITでグランドトップになっていたので、ざっと斜め読みはしていましたが、今日改めて最初から最後まで読んで、「なるほど!」と思いました。:)

というのも、この記事、ある程度正確にブログの真実を言い当てているような気がします。

特に注目したのは「暗黙知」というキーワードです。ここでいう暗黙知とは、漠然とした思いつきのことです。知識の断片と言ってもいいと思います。

それに対するキーワードとして「形式知」が挙げられています。こちらは誰もが理解できる理論的で明解なアイデアのことです。

前掲の記事を読んで、「ブログとは暗黙知を表現するためのツール」と言えそうだと思いました。というようりも、「それを<許してくれる>ツール」と言えそうです。逆にいえば、ブログ以外のWebサイトはそれを許さないツールではないでしょうか?

想像してみてください。例えば、朝日新聞のサイトのようなパブリックなページで情報発信しようとすれば、誰もが納得できる理論的で明解なアイデアが要求されるでしょう。しかし、このようなアイデアを書くには一筋縄ではいかないでしょう。あらゆる調査と裏付け、深慮、そして長い時間が必要となります。それが「形式知」を実現することの難しさであり、弱点です。

しかしブログはそうではありません。漠然としたとりとめのない思いつきで許されることがほとんどです。マジメな記事の合間に「今日朝寝坊してしまった」とか「旅行に行って楽しかった」と書いても、多くの場合誰にもとがめられないし、私だって「備忘録」と書いて断片的な知識をブログにため込んでいます。

このようなブログの書き込みは、よく考えてみると、私たちの思考そのものに似ていませんか?

わたしたちは、いろんなことを漠然と考えていると思います。仕事に集中しているときもあれば、「ご飯食べたいなぁ」とか、「次はあの仕事がしよう」とか、ほんとにとりとめがありません。

思考とはとりとめなく頭に浮かんだ情報であると思います。一方、ブログはとりとめなく書き込まれた情報だと思います。

私たちの日常生活では、このような頭に思い浮かんだ漠然とした情報をまとめあげていくことで、初めてしっかりとしたアイデアに変化させることができ、そうやって初めて人に明確で論理的な情報としてそれを伝えることができるのだと思います。

例えば、何かアイデアを思いつくとき、いきなり明確なアイデアが思い浮かぶことはほとんどないでしょう。何かきっかけとなる、小さな気づきや発想。そこから浮かんでくる連続的・連想的な考えと想像。それらがまとまって1つのしっかりとした形を持つアイデアと形式知となる。そういうプロセスがあるのではないでしょうか?

極論して簡単にいえば、「たくさんの暗黙知(漠然とした思いつきなどの情報)を寄せ集めることで、それが結実して形式知(明確なアイデア)となる」のです。

同じようにブログでは、複数の人が数多くのブログを書き連ねることで、ネットワーク上の思考空間(=日常生活でいうところの脳)を実現して、そこからあらゆる形式知が生まれるわけです。

これこそがブログの価値だったのだ、と私はこの記事を読んで思いました。

ちなみに終盤に書かれてある

ただ、心配なのは、社内ブログがうまくいって、情報の配信や蓄積が活況を帯びてきたとき、それを受け取る側は情報過多になり、それだけで拒絶反応を起こしてしまうのではないかという部分だ。

という個所ですが、(経験的に言って)これはRSSリーダーを使っている限り絶対にあり得ないと思います。

なぜならRSSの情報収集は、メールを読むのとまったく違う性質を持っているからです。

実は「メール」は比較的読まなければならない記事を探しにくいツールであるし、「選択的に読む」ということが非常に難しいツールだと思います。

例えばあなたは10階建ての本屋さんで本を探すときに、1階から順番に端の本棚から一冊ずつタイトルを見て、ときにはぱらぱらとめくったりして本を探すでしょうか?

そんなことしませんよね。目的の本が置いてる階のコーナーに行って探すはずです。

実はメールは目的の本棚に行くことが苦手です。メールは10階建ての本屋を下から順番に探さなければならないことが多いのです。

メールは、ラーメン屋の前に並んだ行列が1人ずつ・1組ずつ店に入れるように、来たメールを1つずつタイトルや内容を確かめながら読んで行くことがほとんどなのです。

メールは、カテゴライズとフィルタリングがしにくいツールなのです。

しかしRSSリーダーは、逆にこのカテゴライズとフィルタリングが大得意なのです。

読む項目を興味のあるコンテンツに絞ったり、興味のある人物に絞ったりできるわけです。

実際に私もRSSリーダーで収集した大半の情報は読まずに捨ててしまいます。気に入った10%程度(人によって変わると思いますが)を読んでいるだけです。もしこれをメールでやったら大変ですよね。「えっ、私が送ったメール読まずにすてちゃたんですか……!?」大問題になりそうです(笑)

まとめると、メールはプッシュ型で絶対的に送られてくる情報を読むためのツールで、RSSはプル型で選択的に情報を取得するためのツールと言えそうです。

従って、

「情報収集」にはRSSが適しており、「情報受信」にはメールが適しているのです。

そう考えています。