いっしきまさひこBLOG

AI・機械学習関連、Web制作関連、プログラミング関連、旅行記録などなど。一色政彦。

GitHub Sponsors(オープンソース活動のクラウドファンディング)を始めてみた

2019年5月14日から、GitHub Sponsors(GitHubスポンサー)という機能がGitHubで利用可能です。

GitHub Sponsorsの公式サイトはこちら(下の図)

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GitHub Sponsorsの公式ページ(キャプチャして引用)

GitHub Sponsorsはいわば、コードをオープンソースで書く人を金銭的に支援するための機能です。イメージ的には、Kickstarterなどのクラウドファンディングのように、気に入ったプロジェクトや人、活動を金銭的に支援して、活動の成功を見守り、対価(リターン)として何らかのサービスを教授できるサービスです。

オープンソース活動の場合の対価は、通常は物ではなく、「優先的にGitHub Issuesやプルリクエストなどに対応してもらう」といった「権利」提供型サービスになるのかなと思います。どれくらいの金額支援に対してはどれくらいのサービスを提供するかはTierという形で、オープンソース開発者/プロジェクト側で作成します。特にTierの基準は用意されていないので、近しいプロジェクトの事例などを参考にしてオリジナルものを作る必要があります。

通常のクラウドファンディングと違うのは、支援が1回きりではなく、毎月で、止めるまで継続されるサブスクリプション制であるという点です。1回のみの支援というオプションはあえて用意されていません。

日本でも何人かはやっている人はいるみたいです。ただし多くはなく、広まっていないようですね。というのも、

というスレッドで話題になったのですが、GitHub Sponsorsのサブスクリプションが、ライブパフォーマンスで受け取る「投げ銭」(=コンテンツ提供者への金銭提供)と同じで、そのような投げ銭をネット上で行うことは、資金決済法における「為替取引」に該当する可能性があり、法律的に禁止されているから、という意見が以前から多くあるからではないかなと思います。

ちなみに(投げ銭ではなく)「電子決済」であれば、「資金移動」に該当するので、プラットホーム運営者が資金移動業に登録する必要があるようです(例えば電子決済サービスの「ペイペイ」は資金移動業に登録済みなので、個人間でお金の受け渡しができます。もしくは「資金移動」の法律を回避するために、いったんポイントなどを購入してもらい、そのポイントを人に渡す(例:はてなポイント)という方法を採用するケースも多いみたいです)。ただしGitHub Sponsorsのサブスクリプションは、「電子決済」というより、どちらかというと「投げ銭」に近いと思いますが。むしろ「サブスクリプション」と呼んでいるように、(投げ銭ですらなく)「特典の定期購入」だとは個人的に思っています。

状況はクラウドファンディングに近いと思うので、その解説の一つで「Readyfor(レディーフォー): クラウドファンディングの種類」(下の図)を見ると、

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Readyforのクラウドファンディングの種類ページ(キャプチャして引用)

GitHub Sponsorsのサブスクリプションは、先ほど書いたように「権利の定期購入」と見るのならば「購入型」に該当するのかなと考えています。一切の特典(権利)を渡さず、手紙やメールでお礼を言うぐらいであれば「寄付型」なのかなと思っています。

※以上、思っていることを書きましたが、法律については無知なので、詳しくは法律家に相談してみてください。わたしは本稿の内容に対して一切の責任を取りません。ちなみに自分も「弁護士ドットコム: ソフトウェア開発者への金銭的支援と、資金決済法について」に質問してみましたが、「クラウドファンディングのような方法で資金を集める場合に、……、対価が質問にあるような特典(例:毎月2000円なら開発者側ページに『名前/ロゴ』が掲載される特典)であれば、金融商品取引法の規制対象とはならず、せいぜい特定商取引法の通信販売の規制対象となるだけだろうと思います。」「寄付や投げ銭であれば、規制はありませんが、寄付を受けた金額が年間で110万円を超えれば、超えた部分に贈与税がかかります。」という回答がつきました(※あくまでネット上にある一つの意見であり、これを読んで取った行動は全て自己責任です。念のため)。

前置きが長かったですが、たまに「無料でこれ提供してくれてありがとう。お金払いたいぐらいだよ」と書き込みされることがあったので、試しに自分もGitHub Sponsorsに申請してみました。で、できたページが下記のリンク先です。

- Sponsor @isshiki on GitHub Sponsors

申請してみたい人向けにもう少し体験を書いておくと、申請してもすぐに始まるわけではなく、承認や口座や、米国での課税を免除してもらうためのW-8BENを電子的に記入して提出する必要など、工程がたくさんありました(参考:「Setting up GitHub Sponsors for your user account - GitHub ヘルプ」)。1カ月近くかかるのを見積もった方がいいです。

しかも申請書類が全て英語で、よく分からない。特に難しかったのは、「What are your pronouns?(あなたの代名詞は何ですか?)」という質問。代名詞って「最強の四番打者」とかかと思ったんだけど、たぶん言葉通りに「My pronouns are he him his」と答えるのだと思います(※確信はないです)。恐らくこれは性別問題と関係していて、男性でも「she her hers」と言ってもらいたい人もいるとかかなと思うので。これは英語を文化面も含めて知らないと答えられないですよね。

もう一つがW-8BENで、赤枠で囲まれている欄だけ記入すればよいと思います。記入内容は「( 2019最新版) W8benの書き方完全ガイド / マイナンバー対応 | 稼ぎたい人のためのストックフォト副業ログ」を参考にしました。

GitHub Sponsorsは海外でやっている人でもそこまで多くの支援者が付いているわけではないので、現状のままだと流行ることなく終わりそうという気がしてしまいますね。自分も誰も付かないだろうな...。

それよりも日本人はGitHubスターをあまりつけないらしくて、それでも米国などとの差が出ているって何かで読んだのですが、「まずはみんな気に入ったら気軽にGitHubスターを押す習慣を持とう」という運動が日本で始まればいいなと思っています。自分もほとんどスター押してないから人のことは言えないです。