スティーブ・バルマーCEOが以前、次のような旨の発言をしています。
「マイクロソフトは現在クラウド・コンピューティングの実現に注力しており、実際に今後10年の間に、企業内のサーバーは減っていくだろう。そのため、今後はクラウド・コンピューティングのプラットフォームとなるOS(以降、クラウドOS)を整備していく方向だ。Windows Liveもその一環である。」
(参考:ITproニュース「『クラウドのためのOS』が必要――バルマー氏と開発者がソフトの未来を語る」)
(※なお、クラウド(Cloud)とは「雲」のことで、一般的にインターネットは雲の絵で表すことに例えた表現です。つまりクラウド・コンピューティングとは、インターネットを基盤(プラットフォーム)にしたコンピューティング環境を意味する。)
今回、「Volta」というWeb開発ツールのテクノロジ プレビュー版(=実験的な開発ツール)が新たに提供開始されたわけですが、世の中の一部の人はこれに対し「クラウドOSへの第1歩」と見ているようです。
Voltaとはどのようなものか?
CNETの記事(「マイクロソフト、ウェブアプリ開発キット『Volta』をリリース」)によると、「アプリケーションの各構成要素をネットワーク内で分配するのを支援する目的で設計された開発ツール」で、「アプリケーションのどの部分をクライアントやサーバのどちらの階層で実行するか」という決定を遅延させられるとのこと。
ドキュメントをざっと読んでみた現在の私の印象では、「多階層Webアプリケーションを構築するためのツール」で、以下のような手順での開発を実現するものです。
1. 開発時は.NETクライアント・アプリケーションとして設計・ビルドする。
2. 運用を始める時点で(つまり後から)、アプリケーションのどの部分をサーバで実行し、どの部分をクライアントで実行するかを決定する。
つまり、「1で開発した単一層Webアプリケーション」を「2のタイミングで多階層Webアプリケーション」に変換する、というわけです。このように、運用時までコードの配置場所の決定を遅延させることで、柔軟にパフォーマンスを最適化できること(best-effort experience)が考えられます。
確かに、結果的にこのテクノロジがクラウド・コンピューティングを実現する基盤にも用いられるのかもしれません。
【参考資料】
・yag: Community and Architecture:Volta preview is released
以上、ニュースを見たところのファースト・インプレッションでした。